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OFDM通信方式について

OFDMとは日本語で直交周波数分割多重方式と表記されます. 通信世代としては,3.9~4世代のモバイル通信を担う重要な技術の一つとして知られています. この記事では,そのOFDM通信方式について解説を行います.

1. マルチキャリア通信

まず,OFDMはマルチキャリア通信に包含される通信方式です. マルチキャリア通信とは,データ伝送の際に使用される電波(搬送波/キャリア)を,複数の異なる周波数特性を持つ電波(副搬送波/サブキャリア)に分割する通信です.

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  • 異なる周波数特性を持つ電波 マルチキャリア通信において分割された電波は周波数特性の差異から,それらの電波を識別します.周波数特性というのは,ざっくり言うと,各電波をフーリエ変換した際に現れるピークの位置です.少し詳しく説明すると,電波強度系列$f(t)$を受信した時,区間$[-\infty,\infty]$でフーリエ変換した際に得られる値の違いで周波数特性を区別します.
$$F(\omega)=\int_{-\infty}^\infty f(t)e^{i\omega t}dt$$
  • フーリエ変換の理想と現実 このように,受信した電波をフーリエ変換によって,周波数成分を解析することでマルチキャリア通信が実現されています.しかし,フーリエ変換は無限の区間を持つ系列を前提としているため,理想的なピークとしては観測ができません.そこで,実用においては,電波強度系列$f(t)$の区間$[t_i,t_i+\delta t]$でフーリエ変換を行います.すると,得られる周波数成分は,本来の周波数特性を最大のピークとして,$\frac{1}{f_0}$の間隔で異なるピークが現れてしまいます

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ここまでで,マルチキャリア通信に関する基本的な知識を説明しました. ここからいよいよ,OFDMの説明,と言いたいところですが,もう少しだけ導入説明を行います. 先ほど,マルチキャリア通信によって分割されたサブキャリアを周波数特性で識別するための理想と現実を説明しました. つまり,マルチキャリア通信を実現するためには,現実のフーリエ変換によって現れる,異なるピークの影響を,他のサブキャリアに与えない工夫が必要になります.

2. FDM通信方式

FDM通信方式とは,先ほど説明したノイズとなるピークの影響を回避するために考えられた通信方式(通信世代としては1世代)です. その方法は,ノイズとなるピークが届かない間隔になるように,サブキャリア分割時の周波数特性を設定するという方法です.

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こうすることで,ノイズとなるピークが発生しても他のサブキャリアには影響を与えないため,各サブキャリアを周波数特性で識別することが可能になります. しかし,この方法では,一つの通信で使用する周波数帯域が大きくなってしまうため,データの伝送効率が低いという問題点がありました.

3. OFDM通信方式

ようやく,OFDMの説明を行うための導入部分が終わりました. ここから,OFDMの仕組みについて説明をしていきます. OFDMは,FDMの通信方式を改良したマルチキャリア通信方式です. 具体的には,サブキャリアの持つノイズが0の位置に,他のサブキャリアのピークが来るように周波数特性を設定し,マルチキャリア通信を行う方法です.

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この方法により,FDMと比較して占有周波数帯域が小さく,データの伝送効率が向上し,高速伝送に適した通信方式として普及しました.

4. OFDMの実用化

OFDMによって,より効率良く,高速にデータの伝送が可能になりました. さらに,実運用を行う際には,さらに工夫を加えることで改良を行っています.

  • QAM QAMとは,日本語で直交位相振幅変調と表記されます.分割されたサブキャリアそれぞれに対し,位相の直交する電波を合成し,振幅成分も細分化することで同じ周波数成分を持つ電波で複数の状態を表現することが可能になります.

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  • MIMO MIMOは,Multi Input Multi Outputの略で,日本語では多入力多出力という意味となります.具体的には,同じハードウェア上で複数のアンテナを配置し,通信を行う方式です.各アンテナでマルチキャリア通信を行うことで,従来よりも格段に速い通信が可能となりました.

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5. 余談

今回は,マルチキャリア通信の実現手法の一つであるOFDM通信方式について説明を行いました. ここからは,FDMやOFDM以外の通信方式について,以下で簡単に説明を行います.

  • TDM TDMは,通信世代としては2世代にあたる通信方式です.時間次元を利用して,サブキャリア送信することでマルチキャリア通信を実現しています.具体的には,短い時間で各チャネルの通信時間を切り替えることで多重化通信を実現し,FDMよりも占有周波数帯域を抑えた効率の良い通信を可能にしました.

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  • CDM CDMは,通信世代としては3世代にあたる通信方式です.各サブキャリアに符号を付与することでサブキャリアを識別し,マルチキャリア通信を実現しています.符号をもとに復号するため,ノイズに強く,秘匿性にも優れている通信方式である.

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  • NOM 通信世代としては,5世代にあたる通信方式である.周波数成分の直交を行わず,サブキャリア同士の干渉を許容し,振幅成分についても分割することで同じ占有周波数帯の中に,多くの通信を抱えることが可能となりました. 実際には,OFDMと組み合わせて使用され,周波数成分と振幅成分の両方でサブキャリアを識別しマルチキャリア通信を実現している.

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※この技術は,前々から考案されていたが,復号技術やハードウェア的な側面から実現には至っていなかったが,それらの進歩により実現するに至った.

Qiita記事

https://qiita.com/muumin_0525/items/ea5602685e129093581f

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